ミステリ系漫画レビュー① 渡辺静『魔女に捧げるトリック』

ディスコードミステリ研究会の会員の大葺です。

好きな漫画はサザンアイズ、ラストイニング、ブルーピリオド。ミステリ系ではスパイラルが好きです。ビッグボスの花旗さんがサイトを会員が記事を書くサイトを立ち上げてはくれたものの、何を書いていいかわからず幾星霜。


小説の感想はディスコード内で盛んに交換されているので、ミステリ漫画、ミステリ好きに刺さりそうな漫画を会員同士で紹介する連載はどうかと思い筆を執りました。②以降は書いてもいいよという方がいればご自由に書いてくださって構いませんので。


今回紹介するのは週刊少年マガジンで連載している渡辺静『魔女に捧げるトリック』です。キーワードは「マジック」というところでしょうか。レビューの都合上作品全体では序盤にあたるであろう 1 話のネタを少なくない範囲で割りますが、結局は 1 話を読むのが早いし、一番良いと思うので賢明な方は公式サイトで下記を読むより、まず 1 話を読んでいただきたい。無料ですので。

本年 8 月 26 日発売の 39 号より連載が始まりました。まだ 2 話しか連載しておらず、今後に期待したい漫画です。

著者の渡辺静さんは過去には SNS をテーマにしたデスゲームものである『リアルアカウント』を全 24 巻にわたって連載するなど比較的ミステリに通じたところのある作風の持ち主といえます。


主人公の針井マキトは齢十七にして超一流の腕を持つと称される奇術師。しかし 6 年前に奇術の師匠でもあった母親を亡くして以来、トリックでしかない奇術に絶望し、死者と話せるかもしれない魔法に焦がれます。主人公の名前の由来は、心霊主義に傾倒していた奇術師ハリー・フーディニなのでしょう。


マキトは引退講演の際、脱出マジックに失敗し命を落としてしまいます。マキトは異世界ではなく中世のように見える世界に転生し、魔女を名乗る人物に出会いました。しかしそこは中世のように見える世界ではなく、実際の中世(私は中世と中世風異世界を区別するほどの史学的造詣は持っていませんが、魔法は少なくとも 2 話の時点では存在しないというのがミソです)で、魔女は教会から「魔女」とされている人間だったのです。


「魔女」の教会への妄信と、自らが母を失ったときに霊感商法に騙されたことを重ね合わせ奇術を駆使して「魔女」の命を助けます。


この作品では奇術を使ったときに、それがどのような奇術か解説が入るのが特徴といます。しばしばフィクション世界のなかで奇術というと何でもありになってしまうなかで、これは本格的と言えるでしょう。ちなみに 1 話では 5 つのマジックが登場しています。


1 話扉絵やいわゆる異世界ハーレムもののプロットを踏襲していることから察するに今後は「魔女」を次々と助け仲間にしていくという展開が予想されます。
ミステリ的な読みどころとしては 1 話の異端審問官、2 話のゴロツキと「悪い」奇術師を倒していくという流れなのですが、今のところ大した主人公にとっては他愛ないレベルのものでしかないということなので、主人公に匹敵するような奇術師が出てくることが期待されます。

この世界に本当に魔法がないのか、ということも気になります。あるとすれば奇術対魔術というのも期待できますね。


では最後に次にバトンを受け取ってくれる人に期待。

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